・・・頭のよしわるしを論じるよりも、この世紀の人間的分別の共同防衛のために、性癖と偏見から飛躍して人民的な生活と文化の自主性を守ろうとしはじめている。〔一九四八年六月〕 宮本百合子 「世紀の「分別」」
・・・当時の権力者たちは、自分らでまきおこした大惨禍を、国民が反省し、考察し、批判して是非を論じることを極端におそれた。そういうものを一括して、スパイと思わせた。道理に立つ足場が弱かったから、それだけ人間の理性の明るさを恐怖した。ある婦人雑誌など・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・は、この作家について論じるとき無視することのできない特殊な一作となった。 かつて『女人芸術』が、全女性行進曲というものの歌詞を募集したとき、伊豆の大島の小学校の教師をしていた一人の若い女性が、当選した。それが松田解子であった。秋田の鉱山・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
出典:青空文庫