・・・しかも、同じ貧窮と汚穢の中に朝から晩までころがされながら、尚民衆は「結構さん」の中に「旦那」「他人」を嗅ぎわけて、本能的な仲間はずれに扱ったということ。それらが、幼いゴーリキイの知性の目覚まされてゆく生活の過程として、私共の心を打つのである・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・しかも、同じ貧窮と汚穢の中に朝から晩までころがされながら、尚民衆は「結構さん」の中に「旦那」「他人」を嗅ぎわけて、本能的に仲間はずれに扱ったということ。それらが、幼いゴーリキイの知性の目覚まされてゆく生活の過程として、私共の心を打つのである・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・十五のゴーリキイにとって、これらの荷揚人足、浮浪人、泥棒の仲間は、彼等の極端な貧窮、不幸により、而も猶彼等が自由に生活を選んでいるという点で若いゴーリキイを惹きつけた。ゴーリキイは、灼熱された石炭の中に投げ込まれた一片の鉄のように自分を感じ・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
出典:青空文庫