・・・また現実的に作家の本質的な発展の問題に触れてこれを見れば、決して消極的な意味を歴史上に持っていたのでもなかったのである。 大体、作家とその実際生活との関係は非常に微妙で、興味尽ぬものがあると思う。例えば私なら私という一人の婦人作家が、最・・・ 宮本百合子 「問に答えて」
・・・然しながら、バルザックは、その金銭が本質に含んで刻々に増大させつつある生産諸関係の矛盾や、それによって心然に惹き起される支配階級の質的変化という現実のより深い真相、歴史の動きゆく基本的な動力に対しては、盲目に等しかった。彼は、社会の「複性は・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・こういう経歴の作家に通有な文学に於ける面白さが、やはりブルジョア文学の一部の作家がいう面白さと類似したもの或は卑俗さに於て何ら質的に異ったものではなくなって現れて来ているというのは何故であろう。 村山知義氏は一人の能才者である。彼は画を・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ これらの人道主義的な個人主義的なヒューマニティの理解の時代は、ヨーロッパ大戦の後、或る質的な飛躍と波瀾とを経て今日に到っている。例をアメリカにおける産児の制限の場合にとって見よう。所謂キリスト教の精神によって、アメリカは従来サンガー夫・・・ 宮本百合子 「夜叉のなげき」
出典:青空文庫