・・・また農場へ行ってめまいをしてもいけません、なぜなら、その魚粕をつかうとキャベジでも麦でもずいぶんよく穫れます。おまけにキャベジ一つこさえるには、百疋からの青虫を除らなければならないのですぜ。それからみなさんこの町で何か煮たものをめしあがった・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・ 景色が退屈だから、家に坐ってるような心持でいちんち集団農場『集団農場・暁』を読んだ。 一九二八―二九年、ソヴェト生産拡張五ヵ年計画が着手されてから、社会主義社会建設に向って躍進しはじめたのは、直接生産に従事している労働者ばかりでは・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・ 第一次五ヵ年計画のすんだ今では全農戸の七割が集団農場化し、耕作機械、刈入機械の配給所は三千百ヵ所にまで殖えた。耕地面積は五年前を一〇〇とすると一四五で、世界のよその国ではアメリカでも農業恐慌で耕作面がどんどん縮少しているのに比べて実に・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・ 集団農場の光景だ。 果しない耕地にトラクターが進んでゆく。青葉の繁った木立ちのこっち側には集団牧場がみえる。楽し気な牛、馬、羊、年とった集団農場員が若いもの、孫のようなピオニェール等にかこまれて、働き、ラジオをきき、字をならってい・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・ 五箇年計画でソヴェト同盟の中には、水力発電所、工場、集団農場、夥しくふえた。ソヴェトで工場が建ち集団農場が一つふえたということは、だから必ず同時に、そこには労働者クラブ、托児所が建ち或る場合にはごく新式の設備をもった住宅さえ立ち並ぶこ・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ わたしは、その夏、ウクライナの大国営農場「ギガント」を見学に行った。鉄道の沿線からはじまって、目もはるかな大農場は麦の波だ。そこを、ゆるゆる地平線に向って滑走中の飛行機のようなコンバインが進行している。 古貨車を利用してこしらえた・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・うねくる個人耕作の細い畦が消えて、そこに赤旗をかかげた農業機械ステーションを中心とする集団農場が現われた。 重工業の発展はソヴェトの尨大な野を統制ある農業生産場、工業原料の生産場とかえつつある。農村の活溌な社会主義的発達はとりもなおさず・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 工場や集団農場から樺の木の胴乱を下げてやって来た労働者農民男女の見学団は、賑やかに討論したり笑ったりしながらノートを片手にゾロゾロ博物館の床の上を歩きまわる。が、ここへ来ると、云い合わせたように誰も彼も黙ってしまった。頬が引緊った。自・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ ――どこでも今人が足りなくて騒いでるじゃないの、集団農場や国営農場へとられちゃって。職業紹介所は空っぽですよ。 ――事務員は払底しているんです。 ニッケル大湯沸のクランクからバケツへ熱湯を注ぎながら皿洗女は云った。 ――臨・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 五ヵ年計画において最も重大な役割をもつ集団農場の組織について農村婦人がどんな役目を果しているかを見ると、遺憾ながら、百パーセント満足とは云えない。私がこの間田舎へ行ったら、昔なじみの女が出てきて、丁寧に昔風のお辞儀をして云うことには「タワ・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
出典:青空文庫