・・・そのうち文化上の戦争責任追及もうやむやになったし、日本の保守傾向の存在できる幅のひろさも見えはじめたことから、頼んでいる人自身が尊敬もしていない、けれどなにしろ読む人がいるのだから、と書かせる。そういうことでジャーナリズムに作家たちがずるず・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ 日本の人民生活を、今日の惨苦につき入れ、戦場へやられた一人一人が平和の生活では思いもかけなかった残虐行為を行うようにしむけられたことに対して、日本の人民の戦争責任者追及は、むしろ寛大すぎるとさえいえる。二十万人の戦傷不具者・二十万人以・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・の登場の今日の必然は、彼等の存在が今や無視出来ないほどの重要性を持ち、作家をして書かずにはいられなくさせていること、同時に近頃の小説が一方で従来の繊細な内的追及に没頭している他の一方では、これまでの文学の心情と全く縁のない、別の生の発展に興・・・ 宮本百合子 「文学のディフォーメイションに就て」
出典:青空文庫