・・・授与過剰の物議よりは、まだしも授与過少の不平の方が耳触わりの痛さにおいて多少の差等があるのである。 学位を狙う動機がたとえ私利や栄達のためであろうが、ともかくも我邦で一人でも多く学問の研究に志し従事する人が多ければそれだけ我邦の学術は発・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・それが過剰になると憂鬱になったり感傷的になったり怒りっぽくなったりするし、また、過少になると意気銷沈した不感の状態になるのでないかと思われる。そこで分泌が過剰でもなく過少でもない中間のある適当な段階のある範囲内にあるときが生理的に最も健全な・・・ 寺田寅彦 「五月の唯物観」
・・・が、その一つとして、宗教の悪影響、階級的敵としての影響力がフィルムの上で過少評価されているという事実があげられたくらいだ。 一九三〇年に入ると、ソヴェト同盟の大衆は、国際的な事実としてローマ法王ピオ十三世が世界外交のかげにもっている役割・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・特にこの点における同志小林の指導的理論家としての功績を無視し、あるいは過少評価してぼやかすことは、そのこと自身誤った右翼的危険を示すものなのである。 最後に、同志小林の業績を評価するに当って、その発展のスプリングを、抽象化された性格に置・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・ファシストは自分と同じ民族に属する人民の社会的判断力をいつも過少評価するのが特徴の一つである。自身の潰滅だけが彼等に理解される失敗のすべてである。 わたしたちはポツダム宣言をもう一度、もう二度三度とくりかえしてよんで見る必要がある。そこ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫