・・・刑法で姦通罪において婦人には手落だった過酷さが改正されたとしても、私たちの日々の生活のなかの現実で経済危機が、市民生活のモラルの根柢をゆすぶっているとき、刑法の改正だけで人民の堕落と悲劇とはなくならない。 職場の組合の中では、この問題が・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・そして「十五日には横谷君がおかしな心理状態においこまれて事実無根の自白を強要されてそれ以来われわれの自白に対する強要は一段と過酷と熾烈の度をましてきた。」「横谷君の事実無根の自供を私の前にならべた。」「私は二十二日の晩に考えた。起訴される前・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・につながれる重みの差別は日本ほど男と女との間にあって女にばかり過酷ではないらしくも思える。「家」の権威を示す姓の問題でも、日本では良人の姓にすっかりかわってしまう。しかし中国では宋美齢をみてもわかる。宋氏の美齢として蒋氏夫人であり得る。巴金・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・お蝶が死んだら、債権者も過酷な手段は取るまい。佐野も東京には出て見たが、神経衰弱の為めに、学業の成績は面白くなく、それに親戚から長く学費を給してくれる見込みもないから、お蝶が切に願うに任せて、自分は甘んじて犠牲になる。」書いてある事は、ざっ・・・ 森鴎外 「心中」
出典:青空文庫