・・・そのじつ判っているのである。配下の一員は親切に一時間と経ない内に来るからと注意してくれた。 かれこれ空しく時間を送った為に、日の暮れない内に二回牽くつもりであったのが、一回牽き出さない内に暮れかかってしまった。 なれない人たちには、・・・ 伊藤左千夫 「水害雑録」
・・・ こういう見地から見て現在一番信頼の出来る施設は中央気象台とその配下にある海洋気象台のそれである。そこにはともかくも一般政治から独立した恒久的観測研究の系統が永い以前から確定されており、その上に当代の有名な学者の数々を聚めているのである・・・ 寺田寅彦 「新春偶語」
・・・何より俺の頼もしい配下だ。飛べ、飛べ! ぐんと飛んで焼き払え。祖先の時柄にも似合わず、プラミシュースに盗ませた火と云うものの真の威力を知らせて呉れよう。水になんぞは怯じけるな!カラ ああ、私の冷かな鉛の乳房も激しい期待でときめくようだ。・・・ 宮本百合子 「対話」
・・・小林多喜二を殺したのは安倍源基とその配下です。岩田義道を殺したのも野呂栄太郎をころしてしまったのも安倍源基です。治安維持法が改悪されて日本の民主的なすべての理性、合理的な平和を愛するすべての人の心を踏みにじってしまったのは治安維持法の仕事で・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・それを護送するのは、京都町奉行の配下にいる同心で、この同心は罪人の親類の中で、おも立った一人を大阪まで同船させることを許す慣例であった。これは上へ通った事ではないが、いわゆる大目に見るのであった、黙許であった。 当時遠島を申し渡された罪・・・ 森鴎外 「高瀬舟」
出典:青空文庫