・・・日本のように民間の世論調査機関が発達していず、しかも官僚統計は不備不活溌である場合、日本全土にわたる配布網、宣伝網をもつ大新聞が、比較的たやすく世論調査の便宜をそなえている。 日本では大新聞が世論調査の便宜をもっているということに、小さ・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・国立出版所は、新刊書の配布網についてもっと研究するべきだ。そういうことは書いて来る。しかし、村の人々はどういう小説を読みたがっているか、またどの小説に対してどういう風に大衆的に批評したかというような綜合的な報告は概してすくない。自分は何々を・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ブルジョア・地主の政府が資本主義経済の行きづまりから死物狂いにファッショ化して来ている現在の日本で、プロレタリアの唯一の文化的武器である、プロレタリア出版物を支持し、その配布組織を敵から守って拡大強化してゆくことはわれわれに課せられて決して・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
・・・帝国劇場で第一部の興行のあった時、第一部の正誤表は出来ていたので、富山房はそれを劇場で配布しようかとも云った。しかし私は本を読む人と劇を観る人とは自ら別だから、それは無益だろうと云った。さて今既に印刷し畢っているファウスト考には、右の第一部・・・ 森鴎外 「不苦心談」
出典:青空文庫