・・・けれども、時局の要求する生産拡充への大努力によって重工業、化学、食料、織縫などには、大量に女の力が吸収されつつある。全国に十万人も熟練工が不足を告げているという事実は、今日の大問題とされているのである。処々の大工場、実務学校などで熟練工の養・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・ 五箇年計画は、第一に重工業の生産拡大を眼目としている。「鎌と鎚」は全ソヴェト同盟内でも有数な金属工場だ。古いボルシェビキで、国内戦のときは、一方の指揮者となって戦ったプロレタリア作家タラソフ・ロディオーノフが、本気な顔をしているのは当・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ レーニンはソヴェト同盟が重工業を振興させ、労働の生産力・技術を増大させることによって、実力的にヨーロッパ資本主義国を追いぬかなければならないという点に、絶えず全ソヴェトのプロレタリアートの注意を引きつけて来た。五ヵ年計画の基礎はこの線・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 今日の最新技術を駆使して高度に合理化されている重工業工場の生活が、そこで働いている優秀な勤労者たちの精神と肉体とに求めているテムポとリズムとは、どういうものであろうか。現代の科学の能力を最大限に発揮して刻々に活動している機械の速力、能・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・ 昭和十二年七月に事変が勃発してから僅か二年の間にさえ、若い女性たちの重工業への進出は金属工業で男が一六パーセント増したのに対して女子四二パーセント増しとなっている。機械器具製造では男子二一パーセント増しに対して女子三〇パーセントという・・・ 宮本百合子 「女性の現実」
・・・けれども客観的にみればこれは日本の近代的重工業の生産力が全く立ち遅れている苦境を、若く、一つの情熱によって命を捨て得る青年の生命によって埋めて行こうとした軍事的手段であった。特攻隊に参加はしなかったが学徒動員と徴用とによって過去四、五年間日・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・ この一二年の間に、女の生活の内容は実に変化して、若い婦人で重工業の分野に活動しはじめた数はおびただしいものである。これまでは年期奉公に出されていたような若い農村の娘たちが、どんどん旋盤をつかい、電気穿孔機をつかって精密機械の製作に従う・・・ 宮本百合子 「婦人の文化的な創造力」
・・・それらの若い娘さんたちはどんなにか一生懸命な心持で、大きいバスの運転をしていることでしょう。重工業の工場で女がよく働くようになっていることは、もう御存知ですね。 隆ちゃん、あなたの馬は丈夫でしょうか。この間もニュースで、泥濘のなかを馬の・・・ 宮本百合子 「二人の弟たちへのたより」
・・・女子の能力は男子の七十パーセント以上である、近代重工業にもふさわしい、と云われて、女子の技術補導所があちこちにつくられ、女子整備員のオバーオール姿が婦人雑誌に出された時代である。 これも一銭切手であることを、わたしは忘れられなく感じた。・・・ 宮本百合子 「郵便切手」
・・・こうして見ると、軍需工業の景気の呼声が高い割に、この職業別でラジオ増大率の低いことも何か納得出来る気がする。重工業の大工場は今更ラジオとさわぎはしないのであるし、景気の煽りで夜業しているような民間小工場では、ラジオをきいている暇もない、であ・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫