・・・それに対して国鉄詩人の鈴木茂正が、この小説の浅い深いについて興味ある発言をしている。浅いといわれるのは「例えば船山馨という人たちが書いているものですよ、どういう風に生きていくかということではなくて、何か別の世界、非常に観念のあそびみたいなも・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・この日の午前の法廷では、前回に引つづき公訴を取消す要求が、行われたのであるが、検事連は、自席に立ちあがり、十五回にわたって鈴木特別弁護人の発言を妨害した。執拗に裁判長にくり下る勝田検事に裁判長「発言にたいする異議はいいけれども、発言している・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ 同志鈴木清が『改造』に「火を継ぐもの」を書き、同志堀田昇一が『中央公論』に「モルヒネ」を書いている。また同志須井一は、「労働者源三」の続篇として「城砦」を『改造』に発表している。これらの諸作品についてはいずれ別の場所で改めてとりあげら・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・階級の文化活動は、支離滅裂に流れてゆく商業的な文学の空気を貫いて文学サークルを生み出し、全逓従業員の文学作品集『檻の中』、国鉄の詩人たちの詩集、自立劇団の誕生につれて続々あらわれた堀田清美、山田時子、鈴木政男、寺島アキ子その他の人々の新しい・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・ 秋田の方の故郷で暮している鈴木清というプロレタリア作家の『進歩』に発表された通信は、東京の愛国婦人会や何かが、まるで農民が道徳をさえわきまえぬ者で娘を売るように口やかましくほんの一部の身売り防止事業などに世人の注意をあつめ、窮乏の真の・・・ 宮本百合子 「村からの娘」
・・・木曜日の晩の集まりは、そのころにはもう六、七年も続いて来ているので、初めとはよほど顔ぶれが違って来ていたであろうが、その晩集まったのは、古顔では森田草平、鈴木三重吉、小宮豊隆、野上豊一郎、松根東洋城など、若い方では赤木桁平、内田百間、林原耕・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫