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・・・(門火なんのと、呑気なもので、(酒だと燗だが、こいつは死人焼……がつがつ私が食べるうちに、若い女が、一人、炉端で、うむと胸も裾もあけはだけで起上りました。あなた、その時、火の誘った夜風で、白い小さな人形がむくりと立ったじゃありませんか。ぽん・・・
泉鏡花
「開扉一妖帖」
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・・・町のまっ赤な門火の中で、刀をぎらぎらやらかしたんだ。楢夫さんと一緒になった時などは、刀がほんとうにカチカチぶっつかったぐらいだ。 ホウ、そら、やれ、むかし 達谷の 悪路王、まっくらぁくらの二里の洞、渡るは 夢と 黒夜神、・・・
宮沢賢治
「種山ヶ原」