・・・病気見舞を兼ねて久しぶりで尋ねると、思ったほどに衰れてもいなかったので、半日を閑談して夜るの九時頃となった。暇乞いして帰ろうとすると、停車場まで送ろうといって、たった二、三丁であるが隈なく霽れた月の晩をブラブラ同行した。 満月ではなかっ・・・ 内田魯庵 「二葉亭余談」
・・・その備忘録の中から少しばかりの閑談の種を拾い出してここに紹介してみようと思う。以下に挙げてある頁数は、エヴェリーマンス・ライブラリーの中のこの書物の頁数である。 一 二四八頁にこんな話がある。 カラザンと・・・ 寺田寅彦 「マルコポロから」
・・・ 募集した絵をゆっくり一枚一枚点検しながら、不折や虚子や碧梧桐を相手に色々批評したり、また同時に自分の描いておいた絵を見せたりして閑談に耽るのがあの頃の子規の一つの楽しみであったろうということも想像される。 ともかくもあの頃の『ホト・・・ 寺田寅彦 「明治三十二年頃」
出典:青空文庫