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・・・私をその小都会に連れて行った婆さんも、ただものではないらしくある男にビールを一本渡してそのかわりに私を受け取り、そうしてこんどはその小都会に葡萄酒の買出しに来て、ふつう闇値の相場は葡萄酒一升五十円とか六十円とかであったらしいのに、婆さんは膝・・・
太宰治
「貨幣」
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・・・限界価格をきめて闇値の半分ほどにすると予定されている。そうならなくては、人民の生命は益々脅かされる。 生活必需品に対してそういう手当をする政府は、つい先頃、国鉄運賃大幅値上げをした。省線・都電の運賃値上げをして、地域によっては出もしない・・・
宮本百合子
「モラトリアム質疑」