・・・丹野せつ子やその他二人ばかりの婦人闘士の姿も見えます。 傍聴人が席についてしまうと、宮城裁判長が、鼻にかかった声で不明瞭に何か云いました。すると党員の中から一人の男のひとが立ち上り堂々と演説をはじめました。杉浦啓一でした、「この間の選挙・・・ 宮本百合子 「共産党公判を傍聴して」
・・・ 国内戦を経て、勇ましい階級的闘士をウンと出した婦人の基本的文化も一般的に云えば低かった。証拠に、全文盲人員の中、三千四百五十七万六千百二十八人は文字のわからない勤労婦人だった。 ところが、文盲撲滅の文化運動は、社会主義社会に生きる・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ 彼等は自身の利益を守る必要に応じて、技師にもなれば、教師にもなり、ソヴェト同盟では、現に階級の闘士ボルシェヴィキらしい見せかけをした反革命分子さえ発見しているではないか。 ソヴェト同盟の舞台の上、絵の上にきまった形でブルジョアジーが登・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ だが、現在の日本の有様では前衛的闘士ばかりか全く平凡な一労働者、農民、勤人、学生でも、留置場へ引ずり込まれ、脅され、殴られ、あまつさえ殺される可能が非常に増している。極めて当然な賃銀値上げ、待遇改善を要求しても直ぐ警察だ。学生や職場の・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・それだからこそ、或る意味で人生の闘士の一人である筆者のような人が、只、辛いところです、ではいけないと思った。私はいつか、同じ筆者が、もう一重事実の底に沈み、同時に客観した記録を遺されることを希望した。 同じ雑誌の、中河幹子さんの小論。女・・・ 宮本百合子 「是は現実的な感想」
・・・という小説が再版されるようになったが、その中に、その小説の主人公である青年闘士が女の同情者、そして愛人と同棲生活をして、困難を経てゆくことが書かれている。ある種の人々はそれについて共産党員の間にはハウスキーパーという一つの制度があって、自分・・・ 宮本百合子 「社会生活の純潔性」
・・・ 榎南謙一 特殊部落に恐るべき悪臭をふきつける火葬場移転要求をして、二年も闘っているところへ指導に行った若い全会の闘士と、それを支持する少年等、やがてその村をおそった嵐について書かれ、実感のこもった、描写もある。しかし、この部落の闘争・・・ 宮本百合子 「小説の選を終えて」
・・・ 勇敢な闘士、兄弟姉妹よ! 今日は、なんだ。 その小説のズッと前に、誰も知らない、ほんとの処女作というのがある。 多分、小学校の六年生か、女学校の一年ぐらいの時だ。例によって夏休みというものがやって来た。 母親がお嫁に来ると・・・ 宮本百合子 「「処女作」より前の処女作」
・・・地方にも都会にも様々の形で各機構に入りこんでいる右翼くずれ、特高の変形は、人民の統一行動を攪乱するのが唯一の任務であるから、一見勇敢な闘士めいて、どういう挑発をしないものでもない。もし人民が、現在日本政府は武力をもっていないという公の建前を・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・ 赤坊たちは、未来の闘士も婦人技術家もズラリと並んだ白い小さい寝台におさまり、夏なら白樺の木かげで、臍まで日光浴をしながら、三時間おきに、二十分間ずつ乳をのませに職場からやって来るおふくろの胸に熱烈な生活力で吸いつくというわけだ。 ・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
出典:青空文庫