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・・・が、爺さんの竈禿の針白髪は、阿倍の遺臣の概があった。「お前様の前だがの、女が通ると、ひとりで孕むなぞと、うそにも女の身になったらどうだんべいなす、聞かねえ分で居さっせえまし。優しげな、情合の深い、旦那、お前様だ。」「いや、恥かしい、・・・
泉鏡花
「燈明之巻」
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・・・識神を使ったというのは阿倍晴明きりの談になっている。口寄せ、梓神子は古い我邦の神おろしの術が仏教の輪廻説と混じて変形したものらしい。これは明治まで存し、今でも辺鄙には密に存するかも知れぬが、営業的なものである。但しこれには「げほう」が連絡し・・・
幸田露伴
「魔法修行者」