・・・そして、自己批判によって一層高められたレーニン的党派性の理解に立って、この決議の実践、大衆化のために努力し、同時に、わが陣営内の最も害悪ある敵、日和見主義と、いよいよ正しく、譲歩するところなく闘争することを、自身の課題とするものである。・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・そこには、こんにちの民主的陣営の一部にくいこんでいる陰惨な過去の日本の人間虐使の残像がある。戦争の永年、軍隊の指導部員としての生活をして来て、軍規の野蛮さ、絶対命令に対するはかない抵抗としての兵士たちの仮病を見破りつづけて来た人々。死ぬもの・・・ 宮本百合子 「孫悟空の雲」
・・・て、現にその作品は数万、十数万という広い人々の間に読まれている時、そして一方にはその位の読者は何の苦もなくさらっているエロティックな又は虚無的なブルジョア文学が存在する時、もし民主主義文学運動が自分の陣営の作家の影響を過小評価することがあれ・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ 日本のように、資本主義独裁と白色テロールの旺盛なところで、階級闘争は激化し、イディオロギー的差異は有無を云わせず作家の陣営を決定しつつある。既に一九二七年、右翼的固執を示した労芸の内部の情勢が三年間停止している筈はない。前田河が発表す・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・プロレタリア文学運動があったこと、民主主義に立つ文学運動があること、それだけを平面的に文学陣営別にわけてその間でのままごとを許さない大きい底からの力で、歴史の舞台は、わたしたちみんなをのせたまま、文学的営みの各種各様をのせたまま、ゆるやかに・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・ 第一、プロレタリア文学の世界的陣営で、芸術創作上の弁証法的方法の問題が、どの位熱心に、誠意をもって討究されているか。作品中に具体化されているか。その見易い事実さえも筆者は無視しているではないか。残念ながらこの公開状は階級闘争における、・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
・・・ 一九四九年の三月、保守陣営が絶対多数をしめてからの日本は、基本的人権に関するあらゆる面で人民の側からポツダム宣言の忠実な履行を、あらためて要求しなければならない状態になった。 戦争挑発に反対して平和を守ろうとする闘いと民族の独立、・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・ そして、一方新しい文学の光は新興プロレタリアートの陣営に輝きそめています。 ソヴェト・ロシアでは、プロレタリア革命の後、最も早く文学活動に乗り出して来たのは小学校教員でした。彼女等は下層インテリゲンチャで、新しい社会生活に対して闘・・・ 宮本百合子 「婦人作家の「不振」とその社会的原因」
・・・彼女は、新カント派と多くの論戦を交えたが、弁証法を軽視し、その思惟が機械的だったことは、結局道徳律の問題において彼女を敵の陣営――彼女が一生涯それらと闘ったその敵の陣営に導いた。」 大体思索し得る女流の間に道徳家が多いのは何故であろうか・・・ 宮本百合子 「婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?」
・・・ フリードランドの平原では、朝日が昇ると、ナポレオンの主力の大軍がニエメン河を横断してロシアの陣営へ向っていった。しかし、今や彼らは連戦連勝の栄光の頂点で、尽く彼らの過去に殺戮した血色のために気が狂っていた。 ナポレオンは河岸の丘の・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
出典:青空文庫