・・・芸術の分野で多くの要素を占めている小市民的な階層の作家たちの心情は、進歩的な人はつねに古いものの圧力と戦う意識をもっているけれども、戦いかたにおいて大変主観的であるということは、文学も美術も共通でしょう。 あの展覧会にあった赤松俊子さん・・・ 宮本百合子 「第一回日本アンデパンダン展批評」
・・・○自己誕生の神秘 p.190○ドストイェフスキーの芸術は常に中心点を狙い、従って心理学における人間中の人間、つまりあらゆる文化の階層の背後に遠く横わっている絶対的で抽象的な、人間を狙っていることを忘れてはならない。p.191○彼・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・一天万乗の君の観念はつくられ、天皇の特権を擁護するために全力をつくした旧憲法が人民階層のどんな詮索もうけずに発布された。当時の笑い草に、憲法発布ときいた江戸っ子が、何でエ絹布のはっぴだって、笑わせるねえ、はっぴは木綿にきまったもんだ! と啖・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・そこでは、あらゆる社会階層の、あらゆる生活内容の、あらゆる矛盾をもった精神が、ただひとすじ、人民的生存の要求にせき上げられて、抑えがたい声をあげてゆくわけである。作品は、それが作家の全実感に支えられ肉体的なものであるという意味で、理論的労作・・・ 宮本百合子 「両輪」
出典:青空文庫