・・・だが、作家たちはやって来て、創作のための材料を集めるだけで帰ってしまった。せっかく作家が来たのに俺たちの工場では、『文学の夕』さえ持たれなかった。作家たちが俺たちのところへ、どんな文化的な助力ものこして行かなかったことを実に残念に思う。――・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・そういう人生の態度を認めている人たちは、周囲からの軽蔑を自分の心には嫉妬だと云いきかせることも平気であろうし、現実としてはその身のまわりに金銭や地位に対して卑屈になり得る人たちを賑やかに集めることも出来るのである。 こうして、実に様々な・・・ 宮本百合子 「これから結婚する人の心持」
・・・ その後、この委員会は、ひろく人を集めることをやめ、わたしの出席する場合もへり、やがて、どうなりましたでしょうか。六、「チャタレー夫人の恋人」に関して、出版の何かの委員会がシモンされたと云われましたがその委員会のメンバーで、そのよう・・・ 宮本百合子 「「チャタレー夫人の恋人」の起訴につよく抗議する」
・・・みんな集めるのは夜の方がいい」 ××君は元からプロレタリア文化運動の基礎は工場・農村の中へ置かれなければならないと実践から主張して来たんだ。 この部落十七軒が団結して独占地主××と闘争をはじめたのは昨日今日のことではない。旧労農党時・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・「私が屑拾いや骨拾いをすれば、こんな下らないものなんか一と月のうちに十倍も集めることが出来る」サーシャの持物を見せて貰ってゴーリキイは、がっかりした。たよりない気がした。そして、堪らなくサーシャが可哀想になった。だが、サーシャはその一つ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 不幸なロシア人民の解放運動資金を集めるためにゴーリキイは次の年アメリカへ講演旅行に出かけた。ツァーの秘密警察は手を廻してゴーリキイについての醜聞を流布させ、その計画を妨害した。ゴーリキイの肺病はこれらの激しい活動の間に悪化して来た。ア・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・はるかに羊の群をよび集める笛の音がかすかにひびいて来ます。少年のうたはいつか休みました。女の手の働もいつかおさまりました。二人は一つのかたまりになったまま身じろぎもしませんでした。詩人の目からは美くしいつゆが流れています。手は胸をおさえたま・・・ 宮本百合子 「無題(一)」
・・・何とかしてその重さをはねのけようとする欲求、その生々しい力、そのようなものを互にもっていることがわかりあって、その力をも合わせ集めるつもりで若い一組が結びつくことができたら、現在の農村の生活の中ではすでに大きいプラスの意味をもつことであると・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
・・・同時に大勢の労働人員を一つの工場の内に集めると、集団の力を恃んで近代的な労働者の自覚が出て来て、使う方としては不便になって来る。農村の村々に、切離して少しずつ女を働かして置けば、いつまで経っても、それらの勤労婦人達は、都会における工場の労働・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫