・・・キ銀鱗躍動、マコトニ間一髪、アヤウク、ハカナキ、高尚ノ美ヲ蔵シ居ルコト観破仕リ、以来貴作ヲ愛読シ居ル者ニテ、最近、貴殿著作集『晩年』トヤラム出版ノオモムキ聞キ及ビ候ガ御面倒ナガラ発行所ト如何ナル御作、集録致サレ候ヤ、マタ、貴殿ノ諸作ニ対スル・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・に触れるに任せて一読しただけのものを並べたに過ぎない。すべてが良書だというわけではない。翻訳を読むには用心しなければいけない。映画の実例についての著者の所論や感想は「続冬彦集」に集録してあるから読んでもらいたい。姉妹芸術としての俳諧連句につ・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・試みに世界における物理化学に関する研究論文の文献を集録した『フィジカリッシェ・ベリヒテ』及び『ケミカル・ニュース』の最近のものについて日本人の論文の数を検して見ると約三プロセントくらいのものである。少数な世界の強国の中の日本としてはあまりに・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・としてしか一般の常識の上にとりあげられなかった両性の社会関係についての考察が、この本の最後に集録されている文章の中では、はっきりと明日の、より幸福の約束された社会をつくるための、男女の新しい社会的協力としての面からとり上げられている。「異性・・・ 宮本百合子 「あとがき(『幸福について』)」
・・・はこんどはじめてこの本に集録された。一九三〇年の暮日本プロレタリア作家同盟に参加し、「小祝の一家」あたりから、進歩的な作家としての作品が少しずつかかれるようになった。「乳房」は、プロレタリア文学の運動に参加してからの一番まとまった、努力した・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第四巻)」
・・・ そんなに書きためられていたソヴェト同盟についてのいきいきした話が一九三二年からのちのどの本にも集録されないできた理由はここにある。わたしたちの人民的な自由とともにソヴェトの物語も檻に入れられていた。 今日の日本には自分たちの眼でソ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『モスクワ印象記』)」
・・・という小説は三一書房という本屋から出たいろいろな人十七人の『われらの成果』という小説集の中に集録されました。その小説集には島木健作「癩」、平田小六という「囚われた大地」という長篇小説をかいた元隆章閣の人などもはいっているし、婦人作家では私の・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・という諸氏の感想が『文学評論』に集録されている。平林たい子氏が、その感想の中で「社会主義的リアリズムは日本の作家の間に漫然と使用されているような超階級的なスローガンではないらしい」といって「我々の現実の再検討によって」日本の現実に即した創作・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ 手にとって見ると、ローザ・ルクセンブルグがヨーロッパ大戦中三年四ヵ月の間監禁生活を強いられていた、その期間にカール・リープクネヒトの妻にあてて書いた手紙が集録されたものであった。 ところどころ、それとなく拾い読みをしては私は激しい・・・ 宮本百合子 「生活の道より」
・・・この小説は後にソヴェトで革命文学の文集に集録された。五月〔中〕旬、前年の母の死によって中絶した取調べの続きだといって淀橋署に検挙された。十月。「日本共産党の外郭団体であるプロレタリア作家同盟の活動に従事し、共産主義を宣伝した」という・・・ 宮本百合子 「年譜」
出典:青空文庫