・・・二番目も三番目も、生れように難易の差こそあれ、父と母とに与えた不思議な印象に変りはない。 こうして若い夫婦はつぎつぎにお前たち三人の親となった。 私はその頃心の中に色々な問題をあり余る程持っていた。そして始終齷齪しながら何一つ自分を・・・ 有島武郎 「小さき者へ」
・・・衣服飲食を調え家の清潔法に注意し又子供を養育する等は都て人生居家の大事、之を男子戸外の業務に比して難易軽重の別なし。故に此内事の経営を以て妻が夫に仕うるの作法なりと言えば、夫が戸外の事に勉むるは妻に仕うるの作法なりと言わざるを得ず。男女婚姻・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・事物の難易軽重を弁ぜざる者というべし。 ゆえにいわく、今の時にあたりては、学者は区々たる政府の政を度外に置き、政府は瑣々たる学者の議論を度外に置き、たがいに余地を許してその働をたくましゅうせしめ、遠く喜憂の目的をともにして間接に相助くる・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・本来無き家産を新たに起すは、もとより難しといえども、すでに有る家産を守るもまた、はなはだ易からずして、その難易はいずれとも明言し難きほどのものなれば、貧富ともに勉むべきは学問にして、ただその教場をして仙境ならしめざること、吾々のつねに注意し・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」
出典:青空文庫