・・・六 中支からの復員の順位は抽籤できまったが、籤運がよくて一番船で帰ることになった。 十二月二十五日の夜、やっと大阪駅まで辿りついたが、さてこれからどこへ行けば良いのか、その当てもない。昔働いていた理髪店は恐らく焼けてしま・・・ 織田作之助 「世相」
・・・たとえば今回のような大火災の場合に当たって、火流前線がどれだけ以上になった場合に、どれだけの風速どの風向ではどの方向にどこまで焼けるかという予測が明確にでき、また気象観測の結果から風向旋転の順位が相当たしかに予測され、そうして出火当初に消防・・・ 寺田寅彦 「函館の大火について」
・・・村の生活では若い者と年輩の者との順位というものはきびしく、村民の寄合いの席順から発言の権利まで同等ではない。都会の工場労働者は、大人になった熟練工よりも、青年工を使った方が賃銀が安いということから、いつも青年労働者を多く使う。または女を使う・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・封建的な日本の気持では、世界の座の順位で一等国になったということを、素朴にいわゆる国民の誇りと感じた。黒船が来て、井伊直弼が暗殺されて、開港した後進国の日本が、ヨーロッパ資本主義列強に伍してアジアで唯一の一等国になったということは、どんなに・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・何百何千のひとは、今朝になるまで、この未曾有の遅延が、「質問順位で大荒れ」を理由とするとは知らず、二時間以上待っていた次第であった。きのう知らないばかりか、きょうになっても大荒れの必然はよく理解されまい。何故なら、普通の人の感情では質問の順・・・ 宮本百合子 「待呆け議会風景」
出典:青空文庫