・・・第一僕たちのような頸骨の固い謀叛人に対して、大家先生たちが裏書きどころか、俺たちと先生がたとなんのかかわりあらんやだ。……ところで俺はいった。そんなら、こちらでお断わりするほかはない。奴の画はそんなけちな画ではない。大手をふって一人で通って・・・ 有島武郎 「ドモ又の死」
・・・われわれは、丈夫な頸骨と眼力とをもって、すべての古典作家から滋養をとろうとするのである。が、そのやりかたは、古典作家、たとえばドストイェフスキーなどが癲癇という独特な病気をもちながら、彼の生きた時代のロシアの歴史の制約性と、自身の限界性によ・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ひとが何と云ったってかまわないし、妙なことを云えば、ねじこんでやればいい、という春桃の頸骨のつよさは、中国独特の肌理のこまかい、髪の黒い、しなやかな姿のうちにつつまれている。 パール・バックは、中国の庶民の女の生きる力のつよさ、殆ど毅然・・・ 宮本百合子 「春桃」
出典:青空文庫