・・・をすぎてはほとんどダメで、いかなる強弩もその末は魯縞をうがちえず、壮時の麒麟も、老いてはたいてい駑馬にも劣るようになる。 力士などは、そのもっともいちじるしい例である。文学・芸術などにいたっても、不朽の傑作といわれるものは、その作家が老・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・君も僕も差支えないとしても、聞く奴が駑馬なら君と僕の名に関る。太宰治は、一寸、偉くなりすぎたからいかんのだ。これじゃ、僕も肩を並べに行かなくては。漕ぎ着こう。六、長沢の小説よんだか。『神秘文学』のやつ。あんな安直な友情のみせびらかしは、僕は・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ In a word という小題で、世人、シェストフを贋物の一言で言い切り、構光利一を駑馬の二字で片づけ、懐疑説の矛盾をわずか数語でもって指摘し去り、ジッドの小説は二流也と一刀のもとに屠り、日本浪曼派は苦労知らずと蹴って落ちつき、はなは・・・ 太宰治 「もの思う葦」
出典:青空文庫