・・・毎日午前十一時とかに東京天文台から放送される時報を受け取ってクロノメーターの時差を験するためである。 このテントから少し北に離れて住居用の長方形テントが張ってある。ここがT君と陸地測量部から派遣された二人の測夫と三人の仮の宿である。これ・・・ 寺田寅彦 「小浅間」
・・・またある時間内に降れる雨滴の大きさを験する時は、その大きさの公算曲線には数箇の山を見出すべし。これらの場合を総括するに、いずれもかつてポアンカレーの述べしごとく「原因の微分的変化が結果の有限変化を生ずる場合」に当るを見る。自然現象予報の可能・・・ 寺田寅彦 「自然現象の予報」
・・・それでさしあたり行なってみたい実験は、まずできるだけ注意して油脂類を除去したものと、一方では、また故意に一定量の油脂をかぶらせたのについてそれぞれ発音の模様を験することである。もっともこれに連関しては昔レーリーがガラス板の上で茶わんをすべら・・・ 寺田寅彦 「日常身辺の物理的諸問題」
・・・さすればその焦点に集中した要素をやや確かに把握し得らるるから、今度は逆の順序によってこの焦点から発散し拡散した要素の各時代における空間的分布を験する事ができる、その時に至ってはじめて、この編の初めに出した拡散に関する数式がやや具体的の意義を・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
出典:青空文庫