・・・ 内閣にしばしば大臣の進退あり、諸省府に時々官員の黜陟あり。いずれも皆、その局に限りてやむをえざるの情実に出でたることならん、珍しからぬことなれば、その得失を評するにも及ばず。余輩がとくにここに論ぜざるべからざるものは、かの改進者流の中・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・一、官には黜陟・与奪の権あるゆえ、学校の法を厳にし、賞罰を明らかにすべし。その得、二なり。一、官の学校は自から仕官の途に近し。ゆえに青雲の志ある者は、ことに勉強することあり。その得、三なり。一、官の学校には、教師の外に俗吏の員、・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
・・・(事は文久三癸亥 この事情に従て維新の際に至り、ますます下士族の権力を逞うすることあらば、或は人物を黜陟し或は禄制を変革し、なお甚しきは所謂要路の因循吏を殺して、当時流行の青面書生が家老参事の地位を占めて得々たるがごとき奇談をも出現すべ・・・ 福沢諭吉 「旧藩情」
出典:青空文庫