・・・そうして、かかることについても、作家の人物月旦やめよ、という貴下の御叱正の内意がよく分るのですけれども私には言いぶんがあるのです。まだ、まだ、言いたいことがあると申し上げる所以なのです。いずれ書きます。どうぞからだを大事にして下さい。不文、・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・図々しい、わがままだ、勝手だ、なまいきだ、だらしない、いかなる叱正をも甘受いたす覚悟です。只今、仕事をして居ります。この仕事ができれば、お金がはいります。一日早ければ一日早いだけ助かります。二十日に要るのですけれど。おそくだと、私のほうでも・・・ 太宰治 「誰」
・・・あえて読者の叱正を祈る次第である。 寺田寅彦 「俳句の型式とその進化」
・・・多数の学者ことに教育者の側から見れば不都合な点も多くあるかもしれないし、自分でも十分に意を尽さぬために誤解を生じはせぬかと思う点もあるが、ともかくも思うままを誌して大方の叱正を待つのである。・・・ 寺田寅彦 「物理学実験の教授について」
・・・次にはさらに別の方面について所見をのべて読者の叱正を待つこととする。 いわゆる連想のうちには、その互いに連想さるべき二つの対象の間に本質的に必然な関係のあるものも多数にある。たとえば、硯と墨とか坊主と袈裟とか坊主と章魚とかいうように並用・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
出典:青空文庫