・・・という短篇があって、ああいう女を妻に欲しいという回答を婦人雑誌の質問に対して与えていた青年があった。チェホフは知られているとおり、トルストイと同時代の芸術家として、トルストイとはまた異った芸術の手法をもちつつ人間生活の非人間性を心から苦しく・・・ 宮本百合子 「女の歴史」
・・・一九三六年のダイジェストの調査は調査ごとに五〇万ドルの費用をかけ一千万枚のアンケートを発送し、二、一五八、七八九の回答にもとづいて行われた。この大仕掛のダイジェスト世論調査が、何故にとりかえしのつかない大失敗に終ったかというと、そこには実に・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・反動攻勢という手近い返答が、解答のすべてではないと思う。 一九四六年のはじめに「新日本文学会」が組織され、民主主義文学運動が着手された。当時、日本の民主主義革命そのものの特殊な性格、すなわち、これまでの封建性、絶対主義に対するブルジョア・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 講和の出た去年の十一月下旬、新聞が集めたアンケートでは面白い事に、警視総監のような政府の役人と株屋と徳川夢声等が単独講和でも早いほうがよいという回答をしています。そして石川達三、石坂洋次郎、丹羽文雄、その他の作家や学者のある人は、全面・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・皮肉以上の解答を、真実人生を愛し子を愛する母は求めている。私もここに野暮にして重厚な真心をもって、×××氏がカレントに、小粒ながら真実深き評言を正面に人生に向って投げられるように希望する。〔一九二七年二月〕・・・ 宮本百合子 「是は現実的な感想」
・・・ この頃新聞雑誌の上で、身上相談が大流行であるが、かつて私は非常にわれわれに多くのことを考えさせる一つの相談と解答とをある新聞の上でみたことがある。十八九の青年が投書しているのだが、自分は何とかして東京に出たい。村の生活は年寄たちが・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・この種の物語は最後に必ず解答が出て来るという厳然とした約束に立っている。しかもそこまでを、出来るだけ迷路にひっぱって、模造の山河をしつらえて、引きまわされるのを承知して引きまわされてゆく面白さである。 科学的構造が精密であればあるほど謂・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ やっぱり同じ朝日新聞にこの頃「女性相談」というのがあります。 解答者は三宅やす子、山田わか子というような人です。そこにこの間、次のような相談が出された。 酌婦生活をやめたい あなたの決心さえ堅ければ、つまりそういう生活・・・ 宮本百合子 「「市の無料産院」と「身の上相談」」
・・・ 身の上相談では、わが身の上の苦しさを訴える女のひとの立場と、それに解答を与える女のひと達の立場とが、相対的に今日おかれている日本の女の社会性の内容、水準等を、おのずから読者の前に披瀝しているのである。読物として各紙が飽きずそれを掲載し・・・ 宮本百合子 「女性の教養と新聞」
・・・云々という風な質問である。回答者の、ポスター・バリューのある似顔が程よく入れられていて、川路龍子、獅子文六、小野佐世男その他にまじって三笠宮崇仁親王という公式の名で、回答がのせられている。の答えは、小学四年生のとき母に愛のこころをこめて送っ・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
出典:青空文庫