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・・・魂の饑餓と欲求とは聖い光を下界に取りおろさないではやまない。人生の偉大と豊饒とは畢竟心貧しき者の上に恵まれるでしょう。悩める者、貧しき者は福なるかな。私は自分の貧しさに嘆く人々が一日も早く精神の王国の内に、偉大なる英雄たちの築いたあの王国の・・・
和辻哲郎
「ある思想家の手紙」
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・・・しかも彼には星とともに下界を輝らす信念がある。「身に近き義務と信ぜらるるものをまずなし果たせ。第二義務は直ちに明らかならん。霊的解脱はここにあり。かくてすべての人が漠然として欲求し、茫然として不可達に苦しむ理想の境はたちまちにして汝の前に開・・・
和辻哲郎
「霊的本能主義」