・・・ お行儀を教えたり、根気のいる初等学科を教えたりすることは、皆、児童心理を専攻した家庭教師にまかされています。ロザリーと子供は、互から愉快ばかりを感じ合うものとして生活したのです。 ところが、長男が小学に入る頃から、先ず良人のハリが・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・ロザリーは、学校を終ったばかりのヒルダから初歩の学課を習い始めているのですが、ヒルダは、ロザリーにお稽古帳をあずけたまま、姉のフロラと窓際で、ひそひそ何か話しています。ロザリーは、どうも落附かなく、先生を傍にとられ、物足りません。自分からヒ・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・「変なのね、私たち誰だって電車の中でよんだ学課以外の本のおかげで、どうやら読書力がついたんだわ」「そのひとには、往復の電車で本をよめるというのがどんなに勤めているもののよろこびと慰安だか分ってないんですのね、きっと」 いくらか難・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
私は母からも又学課だけを教えて呉れる先生と云う人からも「妙な子」、「そだてにくいお子さん」と云われて居る。自分では何にも変なお子さんでも妙な子でもないつもりでもはたからそうして呉れるんでよけいにそうなったのかも知れない。私・・・ 宮本百合子 「妙な子」
・・・「家事整理の傍ら、受験勉強をなし、再び高等学校の入学試験に応ず。学科試験には優良の成績で及第したが、体格検査の時、風邪をひいていたため、病弱修学に堪えざるものとして不合格となる。体格の再検査を願ったが許されなかった。」 一九〇九年。三度・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・けれども、小さい子供の真の価値と学課の点数の問題にくいちがいを見て苦しむ若い女先生の心情は読む者に感銘を与えます。こういう軟かく瑞々しい感情をもっている方が、先生として報告文学の要点をのみこんで、記録をつくったらば、意味のあるものが書けそう・・・ 宮本百合子 「ルポルタージュの読後感」
・・・その辛さは、自身の成長過程に不調和が生じているばかりでなく、その成長期の動乱を統一する力として外部にある学課、ことに数学その他が十分若く不安な精神を掴みまとめる魅力をもっていないことからも、凌ぎにくいものとして経験されるのだと思われる。・・・ 宮本百合子 「私の科学知識」
・・・学校の空気と学課が、自分をしっかりと掴えない。苦しく無意味に思える。そこで、上野の図書館へ行ってしまう。女学校の四年生になって、学校の比較的豊富な図書館がつかえるようになるまで、わたしの知識慾は、惨めな状態におかれた。図書館と、うちで買う文・・・ 宮本百合子 「私の青春時代」
・・・ずっと飛び離れて、神学科の寺院史や教義史がある。学期ごとにこんな風で、専門の学問に手を出した事のない子爵には、どんな物だか見当の附かぬ学科さえあるが、とにかく随分雑駁な学問のしようをしているらしいと云う事だけは判断が出来た。しかし子爵はそれ・・・ 森鴎外 「かのように」
出典:青空文庫