・・・は実はここにもとづくのであり、また否定の陰に肯定のあることを関説するのもここに起因するのではないかと思う。 悠々として観る態度が否定の否定を意味すると見るとき、我々はこの書の優れたる力を充分に理解し得るかと思う。著者は朝鮮、シナの風物を・・・ 和辻哲郎 「『青丘雑記』を読む」
・・・それまでの叱責は自分の非力に起因していた。そこで文五郎氏も初めて師匠の偉さ、ありがたさを覚ったというのである。 このような気合いの統一はしかしただ三人の間に限ることではない。他の人形との間に、さらに語り手や三味線との間に、存しなくてはな・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
・・・同じ自然を写してもこの真実の現われたものと現われないものとがあるのは、写す人の心の内に真実があるとないとに起因するのである。 が、かく見るときには、君の区別した装飾と写実とは、さらに根本的な区別を受けなくてはならない。装飾は内なる美の直・・・ 和辻哲郎 「『劉生画集及芸術観』について」
出典:青空文庫