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・・・河へ出ている広い泥岩の露出で奇体なギザギザのあるくるみの化石だの赤い高師小僧だのたくさん拾った。それから川岸を下って朝日橋を渡って砂利になった広い河原へ出てみんなで鉄鎚でいろいろな岩石の標本を集めた。河原からはもうかげろうがゆらゆら立って向・・・
宮沢賢治
「或る農学生の日誌」
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・・・そして大へん光るのだ。ギザギザの青黒い葉の間から、まばゆいくらい黄いろなトマトがのぞいているのは立派だった。だからネリが云った。『にいさま、あのトマトどうしてあんなに光るんでしょうね。』 ペムペルは唇に指をあててしばらく考えてから答・・・
宮沢賢治
「黄いろのトマト」