・・・』をベスト・セラーズの一つとして推しているどっさりの読者が、ほんの三年前、日本が行いつつあったファシズムの戦争の本質をはっきりさせ、人民が大量に戦争へ狩り立てられることに対して、いくらかでも人間らしい抗争を示し、世界の反ファシズムの共同線に・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・働く妻、働く母、働く娘は蹶起してその収奪に抗争したのであった。 十月革命は大衆の真の要求を代表し、レーニンを指導者とするボルシェヴィキを支持する大衆の力で行われ、プロレタリア・農民の国家が建設された。働く婦人は初めて、その働きにふさわし・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
・・・その中には寺社の縁起物語の類が多く、題材は日本の神話伝説、仏典の説話、民間説話など多方面で、その構想力も実に奔放自在である。それらは、そういう寺社を教養の中心としていた民衆の心情を、最も直接に反映したものとして取り扱ってよいであろう。民俗学・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
大地震以後東京に高層建築の殖えて行った速度は、かなり早かったと言ってよい。毎日その進行を傍で見ていた人たちはそれほどにも感じなかったであろうが、地方からまれに上京する者にはそれが顕著に感ぜられた。六、七年前銀座裏で食事をして外へ出たと・・・ 和辻哲郎 「城」
出典:青空文庫