・・・例えば昼夜の交代太陽の運行を観測した時に地球が動いているとするか太陽が動いているとするかはただこれだけの現象の説明をするにはいずれでも差しつかえはない。しかし太陽が地球の周囲を動いているとすると外の遊星の運動を非常に複雑なものと考えなければ・・・ 寺田寅彦 「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」
・・・南洋では年じゅう夏の島がある、インドなどの季節風交代による雨期乾期のごときものも温帯における春夏秋冬の循環とはかなりかけ離れたむしろ「規則正しい長期の天気変化」とでも名づけたいものである。しかし「天気」という言葉もやはり温帯だけで意味をもつ・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・するとこれが案外親切な巡査で戸籍簿のようなものを引っくり返して小首を傾けながら見ておったが後を見かえって内に昼ねしていた今一人のを呼び起した。交代の時間が来たからと云うて序にこの人にも尋ねてくれたがこれも知らぬ。この巡査の少々横柄顔が癪にさ・・・ 寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
・・・今の学者が今より勉強して幾年を過ぎなば、この雇の外国人をやめてこれに交代すべきや。新聞紙の政談に志すも、この交代の日は容易に来ることなかるべし。 また、一昨年一二月八日に金星の日食ありて、諸外国の天文家は日本に来て測量したり。この時にお・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・これを生み、これを養い、これを教えて一人前の男女となし、二代目の世において世間有用の人物たるべき用意をなし、老少交代してこそ、始めて人の父母たるの名義に恥ずることなきを得べきなり。 故に子を教うるがためには労を憚るべからず、財を愛しむべ・・・ 福沢諭吉 「教育の事」
・・・これらの弊害は事物の新旧交代の際に多少免るべからざるものとしてこれを忍ぶも、ここに忍ぶべからざるは、その弊害の極度に至り、今の婦人が男子の挙動に傚わんとして、今の日本男子の品行を学ぶが如きあらばこれを如何すべきや。日本国人の品行美ならずとい・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
・・・二つの女学校の五年生が、このせつのしきたりにしたがって○○と書かれている工場へ、一週に一度ずつ交替に手伝いに出かけている。一つは市立の女学校であり、この場合の性質は、学校の経営的な原因より、むしろはっきり、戦時的認識を若い娘心に銘させようと・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・ こういう無駄口はきくが、インガが第三交代の婦人労働者達に約束した托児所増設のための図面は、場所がないと云って、提出しない。「私、今日出して下さるように願っておきましたよ。」「御存じでしょうが……」「どうして? こしらえなか・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・そこをよけて、仕事から引上げて来る労働者、交代に行く労働者。人通りは絶えない。 木橋を境にして、九千人の従業員をもつモスク第一の金属工場「鎌と鎚」が、蜒々と煉瓦壁をのばしている。「郵便」と書いた板の出ている小さい入口をわれわれは入っ・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・五日に一遍休暇日をとって、二交代の工場は三交代に、「間断なき週間」として働こうではないか。「間断なき週間制」は一九二九年の秋から実施された。 暦を組みなおして、各職場にわり当てられた五ヵ年計画第一年第一期の生産経済計画完成に着手したが、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
出典:青空文庫