・・・小さかったナチスがそういう支援・投資を得て怪物的な成長をとげ世界を攪乱しはじめて一九三八年以来、世界平和のため、自分たちの人民生活・国家の存在の擁護のために自分の息子たち孫たちを前線に送らなければならなくなったのは、ほかならぬかつてのナチス・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・しかも日本・イタリー・ドイツのように三国連盟して、東洋と西洋の平和を攪乱したファシズム権力に引まわされた国々の人民生活の惨状は改めていうまでもありません。第二次大戦はファシズムの非人間性と狂暴な破壊性についておそろしい教訓を与えました。近代・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・家庭の平和をすっかり攪乱する」と、大きい暖い頭を振られる。 自分は、悲しみで爆発してしまいたい心持がした。私は皆が可愛いのだ。皆に可愛がられたく思う。けれども、可愛がられ、可愛がる明るい、賑やかな団欒と、芸術とを釣代えに、どうして出・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・そして、職場の闘争で諸君が勇敢にダラ幹を排撃するように、プロレタリア芸術の領域へモグリ込んで正しいプロレタリア芸術戦線を攪乱しようとする民主主義者を日常芸術活動の中から追っぱらえ!〔一九三一年六月〕・・・ 宮本百合子 「プロレタリア芸術の本体をシッカリ腹に入れてくれ!」
・・・実際生産用具はそのように欠乏に欠乏を重ねて来るのに、増産の必要は昂まるし、一方には正規の増産とその配給とを攪乱するような農業会、統制会、闇売買が横行して、農村では近年の一つの病的な社会現象として、物がないのに金はあるという状態になって来た。・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・この腹に田虫を繁茂させながら、なおかつヨーロッパの天地を攪乱させているナポレオンの姿を見ていると、それは丁度、彼の腹の上の奇怪な田虫が、黙々としてヨーロッパの天地を攪乱しているかのようであった。三 ナポレオンはジェーエーブロ・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
・・・その間にはなお斗拱や勾欄の細やかな力の錯綜と調和とが、交響の大きい波のうねりの間の濃淡の多いささやかなメロディーのように、人の心のすみずみまでも響きわたるのである。さらにまた真理の宝蔵のように大地を圧する殿堂がある。それは人の心を甚深なる実・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
・・・まず廊下であるが、板の張り方は日本風でありながら、外側にペンキ塗りの勾欄がついていて、すぐ庭へ下りることができないようになっていた。そうしてこういう廊下に南と東と北とを取り巻かれた書斎と客間は、廊下に向かって西洋風の扉や窓がついており、あと・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫