・・・ だんだんこの小説を読んで行って、大変面白く思われるのは、ロシアが生んだ世界的な諷刺作家ゴーゴリの作品の世界と、この「黄金の仔牛」の世界の違いかた、同時にそこにある共通性であった。 ゴーゴリの作品の価値は世界古典のうちに一つの峰とし・・・ 宮本百合子 「音楽の民族性と諷刺」
・・・ 例えば、ゴーリキーの生れたニージュニ・ノヴゴロド市について見よう。一九二七年、このヴォルガ河に面した古い都会はどんな意味をソヴェトのプロレタリアートに対してもっていただろうか? ニージュニ・ノヴゴロド市には、夏になると、昔から有名・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・に巡礼をやり、今やっているゴーゴリの芝居では何をやっているか、旦那さんの方はきっと徹夜して小説かいてるでしょう。今夜見物する予定でしたが叔父様をお送りしたからやめになりました。 この近所には千葉で三年ばかり暮すことになった山田さんの奥さ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・かしこまってそこに連っている歌人・文学者たち一人一人の経歴が文学史的に細叙されているにつけ、つつしんでいる作者の描写が精密であればあるほど、そこにゴーゴリ風のあじわいが湧いて、読者は、全情景、登場人物などのすべてが、自分たちと同じ人間として・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・むかし築地小劇場がたくみな模倣でゴーゴリの検察官を上演した。あの劇中でも金のないフレスタコフのあなぐら部屋へ靴の裏みたいなあぶり肉をそれでも給仕が運んで来たじゃあないか。あの通りだった。一杯十カペイキの茶でも呼鈴。―― 朝八時と十時の間・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・によって日本の文学のために極めて意義ふかい発足を行い、ゴーゴリ、ゴーリキイ、ガルシン、アンドレーエフなどの作品を翻訳紹介しつつ三十九年には「其面影」四十年には「平凡」と創作の業績を重ねながら、目前の日本文学一般がおくれていることへの不満のは・・・ 宮本百合子 「生活者としての成長」
・・・ その解決を求めて、今年のブルジョア文学は前例ないほどドストイェフスキーやバルザック、ゴーゴリなど外国の古典的作品の再検討をとりあげ、明治文学研究も行われた。リアリズムの問題も、プロレタリア文学運動に新たな方向を与えた社会主義的リアリズ・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
○雲に映るかげ ○茅野の正月 ○ゴーゴリ的会の内面 ○アルマ ○花にむせぶ(Okarakyo の夫婦、犬、息子 ○となり座敷 ○夢、 雲に映る顔 ○夕やけの空を見て居る。・・・ 宮本百合子 「一九二七年春より」
・・・ 一八四二年にゴーゴリが死んだ。その時、ツルゲーネフは極めて自然の感情の発露によってゴーゴリの功績を讚えた哀悼文を書き、それをモスクワの或る新聞へよせた。すると、日頃ツルゲーネフに目をつけていた官憲はその文章が不穏であるという咎で、ツル・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・プーシュキン、ゴーゴリ、レルモントフ等をはじめ、トルストイ、チェホフ、ゴーリキイなどをのぞいたら、世界の文学は云わば背骨の大切な部分をひきぬかれたようなものだ。チェルヌイシェフスキー、ベリンスキーその他の人々の文芸評論は、世界文学に、社会と・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫