・・・ 革命的なプロレタリアートの不屈な意志と細心な努力とが日常生活の実際を貫いて、意識のおくれた勤労者たちの階級的行動に日光が植物に作用するような影響を与えている。 五ヵ年計画実現の或る政策、特に集団農場化のような場合、はじめはグズグズ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 今日の最新技術を駆使して高度に合理化されている重工業工場の生活が、そこで働いている優秀な勤労者たちの精神と肉体とに求めているテムポとリズムとは、どういうものであろうか。現代の科学の能力を最大限に発揮して刻々に活動している機械の速力、能・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・或時は同性の心易さからの無関心――無邪気な放心であり、或時には微妙な、宛然流れ混る雲のように微妙な、細心な uneasy から、無関心に遁げる場合もございましょう。其に、如何うしても、生活範囲が或一区画に限られ勝でございますから、刺戟の少い・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・ アメリカの最新型のスタイル・ブックが紹介されて、そこには見事なイヴニング・ドレスが華やかな裾を拡げて示されていました。また日本の平面的な顔ではとても冠りこなすことの出来ない、風変りな大帽子などの新型も示されていました。それらが、わたく・・・ 宮本百合子 「自覚について」
・・・ 目に余る贅沢 金銀の使用がとめられている時代なのにデパートの特別売場の飾窓には、金糸や銀糸をぎっしり織込んだ反物が出ていて、その最新流行品は高価だが、或る種の女のひとはその金めだろうけれどいかつい新品を身につ・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・けれども、少くともわたしは、報告者をあのように細心に努力させているそのことが「勤労者文学」の柵がせまくるしくなって来ていることを語っているという感銘をうけた。視点を前方につけつつ、爪先は細心に足もとをふみわけようとされている。そこに、何とな・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・話対手の年寄達もいるし、彼女達を聴手とすれば、祖母は最新知識の輸入者となれた。行きたくなると、彼女は、息子や孫のいるところで、思いあまったように呟いた。「おりゃあはあ、安積へでも行こうと思うごんだ」 余り思い入った調子なので、皆・・・ 宮本百合子 「祖母のために」
・・・これはさながら最新式の欧州航路の汽船の内部のようだ。 真白いエナメル塗の椅子がいくつも並んだ清潔至極な理髪室がある。 大きい大きいニッケル湯沸しの横に愛嬌のいい小母さんが立って一杯三哥のお茶をのませ、菓子などを売る喫茶部は殷やかな話・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・のはずみに間違えて平民の社会に天降った侯爵令嬢良子が、つつがなく再び天上したからには、総てはあの時ぎりの白日夢とし、東郷侯爵家というもののまわりは又〔七字伏字〕閉ざされたかの如き感じを世間が持つよう、細心な努力が払われている。 湯浅宮相・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・ 戦争という事業は、戦場で、最新式の武器で、兵士という名でそこへ送り出されたそれぞれの国の人民たちに殺し合いをさせるばかりか、軍需生産という巨大な歯車に小経営者の破産をひっかけ、勤労者をしぼり上げ、女子供から年よりの余生までを狩りたてて・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
出典:青空文庫