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・・・神将は手に三叉の戟を持っていましたが、いきなりその戟の切先を杜子春の胸もとへ向けながら、眼を嗔らせて叱りつけるのを聞けば、「こら、その方は一体何物だ。この峨眉山という山は、天地開闢の昔から、おれが住居をしている所だぞ。それも憚らずたった・・・
芥川竜之介
「杜子春」
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・・・ヴィンダー 俺の大三叉が、恐ろしい鉄の轟きで天を震わせなくなってから、よい程時が経ったわ!ヴィンダーブラ、やがて、きっときき耳を立て、起き上る。ミーダ 何だ? 皆の足音でもするか?ヴィンダー違う! 遽しい、わくわくし・・・
宮本百合子
「対話」