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・・・と「政変」とに飽きて、「政治」について妙に観念化された。 それがそこから離別することが人間的誠実とは思われる習慣となり、やがて悪癖となった。 バルザックが、たとえ混乱を被いがたいにせよ、政治をも人間生活の現実として見る力のあったこと・・・
宮本百合子
「折たく柴」
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・・・バルザックはパリの階級勢力の移動と栄枯盛衰がその間に激しく行われた七月、二月の政変をも経験したのであったが、彼は社会的変革も要するに金をめぐってもがく人間の流血的な循環運動にすぎぬと、観たのであった。 それにつけて私共の思い出すのは、バ・・・
宮本百合子
「バルザックに対する評価」