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・・・須利耶さまもお笑いになりみんなを赦して童子を連れて其処をはなれなさいました。 そして浅黄の瑪瑙の、しずかな夕もやの中でいわれました。(よくお前はさっき泣その時童子はお父さまにすがりながら、(お父さんわたしの前のおじいさんはね、か・・・
宮沢賢治
「雁の童子」
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・・・芸術家らしさで、其処を鋭く洞察している。そして、子供が絵をかきはじめるときは、よしんばそれが「へへののもへじ」であろうとも、まず顔に目をひかれ初めるものであるという人間の素朴本然な順序に、すらりとのりうつって、こちらに顔を向けている三人の距・・・
宮本百合子
「あられ笹」