・・・―― けれども、一週間の他の三日、火、水、土の昼間は、R夫人も却々多忙で家事の多くを弁じなければなりません。 先ず火曜日は、先週の日曜の朝代えた下着や、敷布や襯衣その他の洗濯日、午後からは訪問と云う日割です。大きいものは一まとめに袋・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ 第二日 多忙な永山氏を煩すことだから、大奮発で七時起床。短時間の滞在だから永山氏に大体観るべきところの教示を受けたいと、昨日電話して置いたのだ。紹介状には、私共二人の名が連ねてある。ところが、Y、昨晩床に入る・・・ 宮本百合子 「長崎の一瞥」
・・・けれども、私がたんのうする迄いるには、案内役に立たれた永山氏が多忙すぎる。数日の中にジャに出発されるところなのだ。福済寺、大浦、浦上天主堂への紹介を得、宿に帰った。 独りで待たされていたY、退屈しぬき、私の顔を見るといきなり云うことには・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
・・・ 点とりは、生憎非常に多忙なので、ゆっくりあれで遊んで居られません。勝手ですがあのまま御返し申します。二つの大きな消しは御迷惑でも必ず御削除下さい。 とりあえず御返事申上ます。中條百合子 富澤有為男様 侍史・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・ことに雑誌なんかの上で大人が一二度小才のきいた文章が出してあるとすぐ「前途多望の天才」とかなんとか云う尊称がたてまつられる。そんな人にかぎってその投書の一年とつづいた事がなく、その次からの文がきっと前よりも劣って居る。「天才のねうちが下った・・・ 宮本百合子 「芽生」
出典:青空文庫