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・・・そのかたわらの鉄網張りの小屋の中に古色を帯びた幾面かのうつくしい青銅の鏡が、銅像鋳造の材料として積み重ねてあるのも見ないわけにはゆかなかった。梵鐘をもって大砲を鋳たのも、危急の際にはやむをえないことかもしれない。しかし泰平の時代に好んで、愛・・・
芥川竜之介
「松江印象記」
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・・・ 後半、工場で自動鋳造機を入れるようになってからのアサの心のありようは、非常にはっきりとしているばかりでなく勤労婦人として、自分の技術に対してあれだけの自覚と熱意をもつ女は、そうざらにあるまいと思うように描かれている。「やはり自分は働こ・・・
宮本百合子
「徳永直の「はたらく人々」」