・・・ こうした根本の性格矛盾が始終二葉亭の足蹟に累を成していた。最一つ二葉亭は洞察が余り鋭ど過ぎた、というよりも総てのものを畸形的立体式に、あるいは彎曲的螺旋式に見なければ気が済まない詩人哲学者通有の痼癖があった。尤もこういう痼癖がしばしば・・・ 内田魯庵 「二葉亭追録」
・・・ こうした根本の性格矛盾が始終二葉亭の足蹟に累を成していた。最一つ二葉亭は洞察が余り鋭ど過ぎた、というよりも総てのものを畸形的立体式に、あるいは彎曲的螺旋式に見なければ気が済まない詩人哲学者通有の痼癖があった。尤もこういう痼癖がしばしば・・・ 内田魯庵 「二葉亭追録」
・・・そして悪いという事に就いて根本的に無自覚である。唯世の中は胡魔化して行けば可いというような事しか考えていない。この一事を見ても、子供心に信仰を有たしめるものは、全く母の感化である。 最近の新聞紙は、三山博士の子供が三人共家出をして苦しん・・・ 小川未明 「愛に就ての問題」
・・・そして悪いという事に就いて根本的に無自覚である。唯世の中は胡魔化して行けば可いというような事しか考えていない。この一事を見ても、子供心に信仰を有たしめるものは、全く母の感化である。 最近の新聞紙は、三山博士の子供が三人共家出をして苦しん・・・ 小川未明 「愛に就ての問題」
一 根本的用意とは何か 一概に文章といっても、その目的を異にするところから、幾多の種類を数えることが出来る。実用のための文書、書簡、報道記事等も文章であれば、自己の満足を主とする紀行文、抒情叙景文、論文等も文章である。 こゝ・・・ 小川未明 「文章を作る人々の根本用意」
一 根本的用意とは何か 一概に文章といっても、その目的を異にするところから、幾多の種類を数えることが出来る。実用のための文書、書簡、報道記事等も文章であれば、自己の満足を主とする紀行文、抒情叙景文、論文等も文章である。 こゝ・・・ 小川未明 「文章を作る人々の根本用意」
・・・こうした将棋の根本を狙った氏の独創的作戦であったのです」といたわりの言葉をもってかばっている。花田八段の人物がしのばれるのである。 花田八段はその対局中しばしば対局場を間違えたということである。天龍寺の玄関を上って左へ折れすぐまた右へ折・・・ 織田作之助 「勝負師」
・・・こうした将棋の根本を狙った氏の独創的作戦であったのです」といたわりの言葉をもってかばっている。花田八段の人物がしのばれるのである。 花田八段はその対局中しばしば対局場を間違えたということである。天龍寺の玄関を上って左へ折れすぐまた右へ折・・・ 織田作之助 「勝負師」
・・・それに一体君は、魔法使いの婆さん見たいな人間は、君に仕事をさせて呉れるような方面にばかし居るんだと思ってるのが、根本の間違いだと思うがな。吾々の周囲――文壇人なんてもっとひどいものかも知れないからね。君のいう魔法使いの婆さんとは違った、風流・・・ 葛西善蔵 「子をつれて」
・・・それに一体君は、魔法使いの婆さん見たいな人間は、君に仕事をさせて呉れるような方面にばかし居るんだと思ってるのが、根本の間違いだと思うがな。吾々の周囲――文壇人なんてもっとひどいものかも知れないからね。君のいう魔法使いの婆さんとは違った、風流・・・ 葛西善蔵 「子をつれて」
出典:青空文庫