・・・現実の諸関係についての一層のリアリズム、一層の粘り、一層の謙遜にして不屈なる作家的気魄の確保が、今日から明日へつづく諸経験を貫いて、文学的結実をなすであろうと信じる。 附記 今日の文学を語る上からは、当然小説以外の諸ジャンルの現・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・しかし、それはどこまでも情熱を呼び出そうとし、それを欲している感情であって、情熱によって不屈に試みられた人生発掘ではない。このことはこの二、三年間のさまざまな思想的文学的態度の提唱の中にも感じられることである。 日本人が、感情的、情緒的・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・そのような環境の中にあって公然と書き得る手紙の内容は略きまったものであることは云えるのだが、私はあのように不屈であり、高い気概に満ちていた尊敬すべきローザでさえも、当時のまだ方向が決定しなかったドイツの運動の段階においてはさけがたいものであ・・・ 宮本百合子 「生活の道より」
・・・血に耐えながら人類の正義と解放のためにその社会主義祖国を防衛することで、同時にフランスとドイツの人民的自由を、アメリカとイギリスの進歩的な良識を、防衛し解放する実行者、そのリアルな語りて、平和のための不屈なたたかいてとして、ソヴェト文学は世・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・に書かれているまでのアグネス・スメドレーは、不屈な闘志と生来の潔白な人間的欲求と共に熱病的な矛盾と自然発生的な手さぐりな、しかし熱烈な生きかたとを展開しているのである。「女一人大地を行く」が書かれてから既に十年近い月日が経った。スメドレ・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・同じスラヴ人の同時代人には二十年の流刑に堪えたチェルヌイシェフスキーをはじめ、七〇年代八〇年代以降今日に至るまでに、人類の中で最も堅忍と不撓不屈の意力によって歴史を押しすすめた更に多くの誇るべき大人物がスラヴ人の中から出ているのだから――。・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・わたしの考え、わたしの生きかた、そして、わたしとしての不屈なる献身というものも生ずる。貞潔は、その男女がこの人生に対して抱いている全体としての操守の一つの表現なのである。常に生きかたの問題の一つである。そういう社会的な人間操持の一つの表現と・・・ 宮本百合子 「貞操について」
・・・前衛が職場の大衆の裡にあってどう活動するかという課題は、第一回に書かれている前衛の不撓不屈なボルシェヴィキ的精神の根源でありまた具体化、実践の場面である点から、特に注意を喚び起す。同志小林がこの点を記念碑的作品の全篇中にどう活かし得ているか・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・は三・一五当時における敵階級の野蛮な白テロを曝露するとともに、革命的労働者の不屈の意気と、その家族のさまざまの姿を描き、当時のプロレタリア文学の画期的到達点を示すものとなった。そもそもの第一歩から小説を書くということは同志小林にあっては階級・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・そして実は彼の敵であった階級の詐術にかかり、最後にはその安定を強化するための思想的代弁人の地位にさえずり込んだ悲劇の担い手としての不屈な姿を今日に示しているのである。 しかもバルザックが遭遇したような歴史的めぐり合わせは、資本主義による・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
出典:青空文庫