・・・という新聞小説の連載によってやくざの世界の描き手となったことは注目される。作者は日本の暴力、やくざの世界が市民生活の民主化を妨げ、労働者の生命をおびやかすものとして権力に利用されていることについて具体的な知識をもっている筈である。「地底の歌・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・美しいものを感じたいわたしたちの気持、やさしさを受けとりたいわたしたちの人間らしさ、そういうものがわたしたち自身の表現をもつことなく、与えあうことがなく、肉体の文学ややくざの世界の物語のどぶの中に流されてしまうとしたら何と悲しいことでしょう・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・あんなやくざもののツァウォツキイを、死んだあとになってまで可哀く思うのは、実に怪しからん事である。さて葬いのあった翌日からは、ユリアは子供の着物を縫いはじめた。もう一月で子供が生れることになっていたからである。 ツァウォツキイは無縁墓に・・・ 著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外 「破落戸の昇天」
出典:青空文庫