・・・生活の困難は益々おびただしく、いまでは国民所得の七割が税になって、不安定も底をついたと云っていいほどだし、六・三制の予算は、僅か七億にきりちぢめられた。闇買いをしないために営養失調から死んだ判事の問題が新聞に報じられているし「葦折れぬ」とい・・・ 宮本百合子 「再版について(『私たちの建設』)」
・・・そう思って読んで見ると、その無料産院というのは、予算十二万円。建物二百坪。コンクリートの二階建て、産院は細民カードに登録された家庭の婦人をお産の前後二週間四十人収容できるものなのだそうだ。 そして、一緒に建つ姙婦健康相談所で、プロレタリ・・・ 宮本百合子 「「市の無料産院」と「身の上相談」」
・・・労働者生活改善費に今年は五十万留を予算してあるとその技師は説明した。「資本主義時代は平均十二時間、三十五留――韃靼人やアルメニア人は同じ労働で、半額が普通だったです。――」櫓を降り、変にポタポタと靴の裏にはりつくような地面を事務所の方へ・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ ――人民文化委員会の芸術部が、その年の予算の中から、劇場のためにはいくら金を使うかという予算をたてる。各劇場にその予算がわりあてられる。それでやって行くんだ。――余談だが、ソヴェトでは、全露作家団体連盟に対しても、作家の技術と生活改善・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ソヴェト同盟の勤労者が各人一ヵ月を楽しく過す夏の費用は、国家計画部が、ちゃんと一年間の労働保護費へ加算して、各企業の予算へふり当ててあるのだ。〔一九三一年九年〕 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
・・・話したひとは、眉のところに独特の表情を泛べて口元を曲げながら、でもねえ、そんなに何年ももつような建物が果して建てられるだけたっぷりした予算がとれるんでしょうか。よしんば、書類の上ではそれだけの予算があったって、ねえ、と更に意味ふかく笑った。・・・ 宮本百合子 「日本の秋色」
・・・発案者の宇原重役の最初の考えでは、国策に沿うと同時に社員に安心して精励して貰うための、「会社の利益から打算しても、相当の予算を組んでやって決して損とならない一石二鳥の仕事である」と思われたのであった。然し、現実は複雑で、事に当って見ると、先・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・ 国庫予算の中でも終戦処理費があまり厖大であるためにわれわれ人民は各種各様の課税にくるしんで来ている。その上に、昨今は取引高税その他日常生活に直接ひびく課税目録がふえた。脱税は重い刑でとりしまるとおびやかされている。政府は、日本の目・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・売笑婦、浮浪児が増大するばかりで、六・三制の予算は削られ、校舎が足りないのに、野天で勉強する子供らのよこで、ダンス・ホールと料理屋はどんどん建ってゆきます。 すべてこれらの日々の不合理をいきどおり、不満を抱き、解決の道を求めている人民の・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・ 横田氏は、またソヴェトの国家予算の内容を検討していられる。これも面白い。ソヴェト一九四七年度国家予算の総支出は三六一二億ルーブルで、そのうち軍事費は一八パーセントの六八五億ルーブルであった。これを一九四六年度に軍事費が国家予算総支出に・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫