・・・――御参考までに○ 婦人民主クラブ役員改選のこと 来る六月十三日の会合で、多分役員改選が議題にのぼるでしょう 今まで発企人のいすわり常任幹事でしたが幹事全体と地区の代表のような人でセンコウ委員を選んで そこからのスイセンコー・・・ 宮本百合子 「往復帖」
作者が添えた手紙でことわっている通り、まだ稚い作品ではあるけれどもリアリスティックな文学の筋の上に立っている。習作ではあるが『大衆クラブ』などにのせれば同感をもってよむひとは少くないだろうと思った。 作者の心持が稚くて・・・ 宮本百合子 「稚いが地味でよい」
・・・婦人代議士たちにしても、それはさぞうるさく迷惑なことであったろう。女は「女らしく」婦人代議士クラブというのをこしらえた。女らしく、お茶を立てて飲んだりしたが、政党間の利害は女らしさにも現実に作用して、こわれてしまった。そのとき新聞の批評は、・・・ 宮本百合子 「「女らしさ」とは」
・・・ヘーゲル左党と呼ばれたこの一団は、ドクトル・クラブを組織していて、十九歳のマルクスはこのグループに入った。ドクトル・クラブはその後「ベルリン自由人」という団体に発展し、一八四二年には、カールにとって生涯の共働者となったフリードリッヒ・エンゲ・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・ソヴェトで工場が建ち集団農場が一つふえたということは、だから必ず同時に、そこには労働者クラブ、托児所が建ち或る場合にはごく新式の設備をもった住宅さえ立ち並ぶことを意味するのだ。 労働者クラブは、現在ソヴェトに五六四〇〇ある。 そのク・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・窓の前は、モスク夕刊新聞の屋上で、クラブになっていた。着いた年の冬は、硝子張りの屋根が破れたまま鉄骨がむき出しになっていた。雪がそこから降る。春の北国の重い雪解水がそこから滴っている。荒々しい淋しい心のひきむしられる眺めであった。二年後に、・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・学生生活の一番の特長は、それがいつでも大衆の活々した日常生活と結びついているところにあると云うはじまりで、細かくソヴェト同盟の失業と搾取のない労働者の生活、政治上の権利、ソヴェト同盟の工場学校、労働者クラブ、社会保険のことなどを演説しました・・・ 宮本百合子 「共産党公判を傍聴して」
・・・であるとして観念的になってゆく存在が、一つの転機をもって、孤独なもの同士のクラブをつくって人間らしさをとりもどしてゆこうとする。村田という病む人物と妻美津子との切ない関係は「縫い音」と対蹠する。村田の生きようとしてすさまじくなった心理も描か・・・ 宮本百合子 「『健康会議』創作選評」
・・・婦人民主クラブが第一回の創立大会をひらいた。会場である共立講堂へニュースのライトが輝いたらしく、派手な空気は、わたしをおどろかした。婦人民主クラブの成立に関係をもった幾人かの婦人が話をした。加藤シズエ夫人もその一人だった。もうそのころ立候補・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・だからベルリンの日本人クラブで、二十歳の青年になっている純一君から声をかけられたときには、初めは誰かわからなかった。名乗られて顔をながめると、一高の廊下で時々見かけたころの漱石の面ざしが、非常にはっきりと出ているように思えた。それから時々往・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫