・・・ これまで世界中で一ばんはげしかった地震火災は今から十五年前に、イタリヤのメッシーナという重要な港とその附近とで十四万人の市民を殺した大地震と、十七年前、サンフランシスコの震火で二十八町四方を焼いたのと、この二つですが、こんどの地震は、・・・ 鈴木三重吉 「大震火災記」
・・・ サンフランシスコかね?」 私はがっかりした。主人は、どういうものだか地理の知識は皆無なのである。西も東も、わからないのではないか、とさえ思われる時がある。つい先日まで、南極が一ばん暑くて、北極が一ばん寒いと覚えていたのだそうで、その告・・・ 太宰治 「十二月八日」
・・・ マクス・ベーアはサンフランシスコ居住のユダヤ系の肉屋だそうである。この「ユダヤ種」であることと「肉屋」であることに深い意味があるような気がする。 六万の観客中には、シネマ俳優としてのベーアの才能と彼のいろいろなセンチメンタル・アド・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
・・・ CCの車にて見物 美くしき小家、 二十六日 L. A. を立ち、サンフランシスコ着 二十七日 Thanksgiving Day. 夜立つ 二十九日 シアトル。部屋で dinner十二月 一日 船の手・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・ サンフランシスコの名が与える、何処か、温い気分にも似ず、寒い、風のあらかった一日、 不幸そうな日本人 今中さんの親切。 シアトルに着くと、海岸の町は、一帯の霧雨にくもらされて居た。然し思ったよりもさむくはない。先に・・・ 宮本百合子 「無題(二)」
出典:青空文庫