・・・ロシア文学史の十八世紀末から十九世紀の間に見られるロシアとロシア人の運命に対する、文学者たちのナロードニキ風の限りない関心が、「春桃」の作者達の行文の間に漲っている。魯迅によって切りひらかれた近代中国の優秀な文学は、そうした意味で、生粋の人・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・ これがきっかけとなり、当時のカザンに於けるナロードニキを主とする急進的なインテリゲンツィアとゴーリキイとの接触がはじまった。ゴーリキイは、墓場の濃い灌木の茂みの中でもたれる彼等の集りに行った。すると、彼等は波止場稼ぎの若者であるゴーリ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 翌年の春、この出来事によってかえって生活に対する溌剌さをとり戻したゴーリキイは、学生仲間で知り合ったロマーシという、シベリア流刑から帰ったナロードニキと、ヴォルガ下流の或る村へ行った。ロマーシはそこで「人間に理性を注ぎ込む仕事」をし、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫