・・・しかし著者はこのような光景は固より盲者にとっては何らの体験にも相応しないバーバリズムに過ぎないという事を論じ、それから推論して、ケラーが彫刻を撫で廻せばその作者の情緒がよく分るといった言葉の真実性を疑っている。 私はこれを読んだ時に何だ・・・ 寺田寅彦 「鸚鵡のイズム」
・・・これくらいのかわいいのだといわゆる機械的バーバリズムの面影はなくて、周囲の自然となれ合って落ち着いている。狭い発電所の構内には、おいらん草が真紅に美しく咲き乱れている。発電所から流れ出す水流の静かさを見て子供らが不審がる。水はそのありたけの・・・ 寺田寅彦 「軽井沢」
・・・で、「現代のヒューマニズムは反動的バーバリズムからの人間の擁護である」といわれていることは、最も普遍的なこの問題の本質として肯定することができる。 現代ヒューマニズムは日本のインテリゲンチアがマルクス主義に絶望し、それと訣別したところに・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
出典:青空文庫